90代夫婦2人暮らし 認知症を患いつつも楽しく暮らしていたが…
みなさん、絶妙なバランスでどうにかここ数年暮らしてきましたが、旦那さんの食事の量が徐々に少なくなり、痩せて動けなくなってきました。認知症の方の自然の経過とも言えますが、ベッドで寝ている時間も長くなってきました。
今年のお正月のある朝のことです。その日は娘さんは実家に行く予定ではなかったのですが、胸騒ぎがして訪れたといいます。
お昼過ぎに実家にたどり着くと、玄関で旦那さん(娘さんにとって父親)が冷たくなって震えているではありませんか。新聞を手にしており、おそらく新聞を取りに出たものの、痩せて筋力の落ちた足では玄関を上がれず力尽き、身動きを取れないまま、寒い玄関で朝から6時間程度過ごしていたようなのでした。
私たちのところに往診の依頼があり、すぐ駆け付けたところ、体温は34度。すでに低体温症となり、意識レベルも落ち、生命の危機といえました。
もしかしたら回復の見込みがないかもしれない。病院で治療するか、または、この後大きく回復する見込みがなく、歩けなくなる可能性もあるなら家で様子を見るか。いずれにしても食事が積極的に取れるわけではなく、高齢であることも考えれば、危機的な状況といえました。