料理好きな認知症患者…火事を防ぐために何ができるのか
料理好きな認知症の母が「火事」を起こさないか心配だけど、料理を続けさせてもいいのでしょうか──。認知症の患者さんを介護する家族からしばしばこんな相談を受けます。実際、東京消防庁の報告によれば、2021年に起きた住宅火災の出火原因のうち最も多かったのが「ガスコンロの消し忘れ」でした。認知症の患者さんと暮らす家族はなおさら心配でしょう。
もともと料理が好きな人であれば、発症後も料理をしたくなるでしょう。認知症を発症すると、記憶力低下のほかに注意力も低下します。料理中に急に電話が鳴ったり宅配業者が来ると注意力の低下から気がそれ、そのまま料理をしていることを忘れて火を消し忘れ、火事の原因になってしまいます。
火事を防ぐために、家族がガスコンロからIHに買い替えるケースがよくみられます。IHは操作方法も異なるので認知機能が低下していれば操作が難しく、火事は防げるかもしれません。ですが、元々ガスコンロタイプで料理をする人がIHを使おうとすると、昔の記憶から火が出ていないので調理を実感できず、ライターやマッチで火をつける危険があります。