承認されたアルツハイマー病の新薬「レカネマブ」ってどんな薬?
アルツハイマー病の薬は長らく「神経細胞に足りなくなった物質を補う薬」だけだった。アルツハイマー病発症のいわば“下流”に働きかける薬で、症状緩和は期待できるものの、病気の進行は止められず、効果のある期間も限られていた。
一方、レカネマブはアミロイド斑ができる過程で、たまったアミロイドβを除去する薬だ。“上流”に働きかけ、アルツハイマー病発症の流れを食い止める。ヒト対象の研究では、脳内の約60%のアミロイドβが減少したという結果が出ている。投与のタイミング次第で、認知症を発症しないまま寿命を全うできる可能性も将来的には期待できる。
実はレカネマブに先駆けて、世界の注目を集めた薬がある。アデュカヌマブだ。
「アミロイド斑を除去する作用があり、レカネマブ同様アルツハイマーの根本的原因に働きかける。しかし大規模臨床試験の中間解析で効果なしとの予測が出て、2019年には開発中止。その後、追加データで解析し直したところ、認知機能低下抑制効果があるとなりましたが、最終的にはアメリカで21年に条件付き承認、日本では承認見送り、継続審議となり、現在は新たな臨床試験の結果を待っているところです」