がんになったとき、患者や家族が感じる「心のつらさ」は3つある
紙おむつを使うようになった。情けない。こんなことになる前に死ねたらよかったと思ったりもします。こんなこともできなくなった。自分ひとりでできなくなったことのつらさ、無念さです。
昔、お坊さんが死ぬ日を決めて、それに合わせてだんだん食を減らし、水を絶ったという話があります。ただ、自分自身の体のことを自分でコントロールするのは、現実にはなかなか難しいと思います。
■医療者はできるだけ理解したいと思っている
そして3つ目は「残された時間が限られること」のつらさです。ある患者さんのお話です。
もうすぐこの世からいなくなる。医師は3カ月の命と言っていた。人間だれしも死ぬ。そんなことはとっくに分かっているのだが、この「3カ月」というのは、自分の今の体の状態からもきっとそうだろうと思う。娘は「3カ月と言われて、2年生きた方もたくさんいるよ」と言ってくれたが、私の体はそうはいかないだろう。
死んでしまったら、何にもなくなるのだろうか? 死後の世界なんてあるはずもない。でも、死んだ母や父はあの世で私を待っていてくれるのではないかとも思う。