医薬品が感染症を引き起こしたり悪化させるケースもある
この連載で、「水虫に対してステロイド軟膏の塗布で悪化」や「吸入ステロイドによる口腔カンジダ」といった、ステロイド薬を使うと免疫力が低下し、感染症になる危険性が高まるケースを何度かお話ししました。
しかし、ステロイド薬は体の炎症を強く抑えてくれたり、過剰な免疫反応を抑えることにより、高い効果を示す優れた医薬品です。他に代わりとなる医薬品がないケースが多い、とても大切な医薬品なのです。
3年前、新型コロナ感染症が流行し始めた頃、私自身に「顔面麻痺」が起こったときもステロイド薬を使用しました。このときはまだコロナに対するワクチンもなかったので、「免疫力が低下して新型コロナ感染症になったらどうしよう」と不安もありましたが、ステロイド薬の適切な使用によって問題なく改善しました。
免疫力を低下させる医薬品としては、抗がん剤も該当します。抗がん剤による治療期間中は、白血球減少などの副作用による感染症の発症に注意が必要です。B型肝炎ウイルスのキャリアーの方は、抗がん剤による治療期間中にB型肝炎ウイルスが再活性化することもあるため、抗ウイルス薬を服用する場合もあります。