レビー小体型認知症は最初に幻視・妄想やパーキンソン症状が現れる
「玄関に知らない人が立っている」と言われたら、どうしたらいい?
幻視・妄想は、ご本人もつらいですが、周囲の人もどう対応していいかわからず、戸惑ってしまいがちです。
夫がレビー小体型認知症と診断された女性も、夫から「玄関に知らない人が立っている」「2階にだれかがいる」「壁をヘビが這っている」などと幾度となく言われました。
最初のうちは「だれもいない」「ヘビのように見えるのは壁のシミだ」と返していたそうですが、そうすると相手は「そこにいるんだっ! 嘘をつくなっ!」と激しく怒る。
「正論で返してもダメなんですね。夫が求めているのは、いるかいないかのジャッジではない。知らない人がいて不安に思っている気持ちをわかってほしいんだと、本を読んでいるうちに理解できました」
女性がとにかく心掛けているのは、頭ごなしに否定しない。夫の言葉に耳を傾け、不安に思っていそうであれば一緒に玄関や2階を見に行き、だれかが隠れていそうなカーテンは開け、部屋を明るくする。特に困っている様子がなければ、話を聞くだけで様子を見る。
とはいえ、幻視・幻覚の訴えが続くと、頭に来て怒鳴ってしまうことも。そんな時は娘さんに電話をして愚痴を言ったり、レビー小体型認知症の家族を抱える人の交流会に参加したりして、気持ちの切り替えを図っているとのこと。
レビー小体型認知症の、初期から見られるもうひとつの特徴的な症状は、パーキンソン症状です。これは、筋肉や関節が硬くなり、歩きづらくなったり、転倒しやすくなったりすることです。レビー小体型認知症と診断される前に、転倒・骨折で寝たきりになってしまうケースもあります。
他の症状としては、アルツハイマー病でもある認知機能障害(視空間認知障害、遂行機能障害、注意障害、処理速度低下)、うつ、日中の眠気、興奮、排尿障害、便秘、発汗障害、起立性低血圧、嗅覚障害など。
また、頭がはっきりしている時と、ぼーっとしている時とが交互に変動するのも特徴的です。状態がいいときに食事や入浴を行い、状態が悪い時には誤嚥や転倒に注意することも必要。
女性にとって、夫の介護は始まったばかり。すべて自分で抱え込みすぎないように同病の交流会での情報収集にも努めていると話していました。