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中川恵一東大大学病院 医学系研究科総合放射線腫瘍学講座特任教授

1960年生まれ。東大大学病院 医学系研究科総合放射線腫瘍学講座特任教授。すべてのがんの診断と治療に精通するエキスパート。がん対策推進協議会委員も務めるほか、子供向けのがん教育にも力を入れる。「がんのひみつ」「切らずに治すがん治療」など著書多数。

見栄晴さんは「下咽頭がん」治療の良好な経過を報告…化学放射線療法の魅力は機能温存

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 皮膚炎は、放射線の回数が増えると、赤くなって衣類でこすれると痛くなります。見栄晴さんはネックカバーで対策されたようです。保湿も欠かせません。

 つらいのは食道の粘膜炎で、のみ下しが痛くてプリンやヨーグルトを好むように。化学放射線療法で食道がんを乗り越えた秋野暢子さんは、「喉の中に剣山が突き刺さっているかのような痛み」と表現され、「数日で治まりましたがあれはつらかった」と婦人公論の昨年のインタビューで振り返っています。嚥下障害のつらさから一時的に胃ろうを増設することも珍しくありません。治癒に栄養は不可欠ですから。

 皮膚炎や粘膜炎は治療中ですが、味覚障害や口の乾きは、治療後に生じるため、晩発性障害といわれます。見栄晴さんも少しずつ味覚が失われ、最後まで残った甘みと酸味もなくなり、五目あんかけそばを前に予想しながら食べる楽しさを投稿したりしていました。

 いまはがんをピンポイントで叩くことができる定位放射線治療によって正常部位へのダメージが減ったことで、治療中の副作用は減少傾向で、治療が終われば、次第になくなります。味覚障害はじめ晩発性障害も、あまり問題にならなくなっています。

 咽頭がんや喉頭がん、食道がんなどは化学放射線療法で、機能を温存することが重要です。秋野さんも指摘しているように、治療中の副作用はつらくてもすぐによくなりますから。

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