初夏だからこそ気をつけたい糖尿病の熱中症…暑熱順化が不十分
実際、総務省が昨年10月に公表した「令和5年(5月から9月)の熱中症による救急搬送状況」によると、全国で5月に熱中症で救急搬送された人数は3655人。統計を取り始めた2015年以降5月としては2番目に多かった。都道府県別で見ると、5月に熱中症で救急搬送された人が最も多かったのは東京都(270人)で、以下、埼玉(269人)、愛知(259人)、大阪(201人)。ほかに3桁に乗ったのは福岡、神奈川、千葉、京都、兵庫、熊本だった。
「糖尿病の人は血管や神経に障害が起きやすいため汗をかきにくく、体内に熱がこもって体温調節が難しくなります。糖尿病の高齢者はとくに喉の渇きに気づきにくいので、知らず知らずのうちに脱水状態から熱中症になってしまうケースが多くなるのです」
そもそも、血糖値が高いと尿に糖分や水分が出やすくなり、体中の水分が排出されて脱水状態になりやすい。脱水状態になると、それ以上水分を減らさないため汗を出すのをストップしてしまうため、熱中症リスクがさらに高くなる。
糖尿病薬を飲んでいる人はとくに気をつける必要がある。たとえば、SGLT2阻害薬は、体の中に余っている糖分を尿とともに体外に排出する働きがあるため、飲み始めの2週間ほどはとくに尿量が増える。