長生きしたけりゃ最後は噛む力(1)歯が20本以下だと死亡率は2.7倍

公開日: 更新日:

 その他にも肺炎や低体重児出産、関節リウマチ、動脈硬化がんなどと関係があるだけでなく、寿命にも影響していることがわかってきたのです。

 厚労省研究班による「口腔保健と全身的な健康状態の関係について」(2006年)では、20本歯のある人と比べ、それ以下の男性の死亡率は、なんと2.7倍。失った歯が多く、うまく噛めないと、寿命も短くなるというのです。

 高齢者が寝たきりになる原因にも歯が関係しています。寝たきりになるきっかけには認知症脳卒中、転倒・骨折などがありますが、実は歯のない人は認知症や転倒のリスクが高くなることがわかってきました。

 これは愛知県の高齢者の調査(厚生労働科学研究班、2012年)によるもので、歯がほとんどなく入れ歯を入れてない人は、20本以上ある人に比べて認知症リスクが1.9倍、転倒リスクは2.5倍になるというのです。また、咀嚼(そしゃく=噛む)能力を調べたところ、あまり噛めない人は、なんでも噛める人に比べ、要介護認定リスクが1.47倍という結果も出ています。ただし、歯がなくとも入れ歯を使用していれば、リスクはそれほど高くなりません。

 こういった研究からも認知症や寝たきりを予防し、健康寿命を延ばすためには、しっかり噛める健康な歯と口が重要ということがわかります。=つづく

(油井香代子/医療ジャーナリスト)

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    佐々木朗希を徹底解剖する!掛け値なしの評価は? あまり知られていない私生活は?

  2. 2

    江藤拓農水相が石破政権の最初の更迭大臣に?「隅々まで読んだ」はずの食糧法めぐり“逆ギレ誤答弁”連発

  3. 3

    「相棒」芹沢刑事役の山中崇史さんが振り返る俳優人生…地下鉄サリン事件「忘れられない」

  4. 4

    吉幾三(5)「お前のせいで俺と新沼謙治の仕事が減った」

  5. 5

    みのもんたさんが自身のスキャンダルで見せた“類まれな対応力”…明石家さんま、石田純一との共通点

  1. 6

    巨人今季3度目の同一カード3連敗…次第に強まる二岡ヘッドへの風当たり

  2. 7

    大阪・関西万博もう間に合わず? 工事未完を「逆転の発想」で楽しむ方法…識者が皮肉たっぷり提唱

  3. 8

    日本代表FW古橋亨梧の新天地は仏1部レンヌに!それでも森保ジャパン復帰が絶望的なワケ

  4. 9

    維新は予算案賛成で万々歳のはずが…ゴタゴタ続きで崩壊へ秒読み 衆院通過の自民はニンマリ?

  5. 10

    松坂桃李「御上先生」第7話2ケタでV字回復へ 詩森ろばの“考えさせる脚本・演出”はTBS日曜劇場からの挑戦状