著者のコラム一覧
中川恵一東大大学病院 医学系研究科総合放射線腫瘍学講座特任教授

1960年生まれ。東大大学病院 医学系研究科総合放射線腫瘍学講座特任教授。すべてのがんの診断と治療に精通するエキスパート。がん対策推進協議会委員も務めるほか、子供向けのがん教育にも力を入れる。「がんのひみつ」「切らずに治すがん治療」など著書多数。

森永卓郎さんは体重減で56キロに…「がん悪液質」で痩せない生活改善を

公開日: 更新日:

 京都府立医大の研究グループによると、進行肺がん406人を追跡したところ、治療前の体重減少が大きいほど生存率が低いという結果が得られています。この点からも早期の悪液質対策が重要です。

 では、どうするか。運動療法や食事療法、薬物療法などを組み合わせて集学的な治療が効果を上げています。運動療法では下肢を中心とした筋トレや有酸素運動が効果的で、食事療法はサプリメントなどの使用も含めて栄養バランスの改善が必要です。こうしたことに並行して、悪液質治療薬として登場した薬剤アナモレリン塩酸塩を組み合わせます。

 この薬は承認から3年ほどで、まだあまり使われていません。進行がんでは初診時に半数、終末期には8割が悪液質になるとされますから、この薬はもっと使われてよいと思います。

 悪液質には、なりやすいがんがあり、すい臓がんや胃がん食道がん、頭頚部がん、肺がん大腸がんはなりやすい。逆に血液がん、乳がん、前立腺がんなどは低リスクです。

 いまのところ薬の適応は非小細胞肺がん、胃がん、すい臓がん、大腸がんの4つ。これからの適応拡大が待たれますが、男性は3人に2人、女性は2人に1人ががんになる時代ですから、もしがんになったら痩せないための生活改善は必須の対策です。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    大山悠輔が“巨人を蹴った”本当の理由…東京で新居探し説、阪神に抱くトラウマ、条件格差があっても残留のまさか

  2. 2

    大山悠輔逃し赤っ恥の巨人にOB評論家《良かった》 FA争奪戦まず1敗も…フラれたからこその大幸運

  3. 3

    悠仁さまの進学先に最適なのは東大ではなくやっぱり筑波大!キャンパス内の学生宿舎は安全性も高め

  4. 4

    過去最低視聴率は免れそうだが…NHK大河「光る君へ」はどこが失敗だったのか?

  5. 5

    八村塁が突然の監督&バスケ協会批判「爆弾発言」の真意…ホーバスHCとは以前から不仲説も

  1. 6

    《次の朝ドラの方が楽しみ》朝ドラ「あんぱん」の豪華キャストで「おむすび」ますます苦境に…

  2. 7

    国民民主党・玉木代表まだまだ続く女難…連合・芳野友子会長にもケジメを迫られる

  3. 8

    「人は40%の力しか出していない」米軍特殊部隊“伝説の男”が説く人間のリミッターの外し方

  4. 9

    瀬戸大也は“ビョーキ”衰えず…不倫夫をかばい続けた馬淵優佳もとうとう離婚を決意

  5. 10

    迫るマイナ保険証切り替え…政府広報ゴリ押し大失敗であふれる不安、後を絶たない大混乱