寝起きの頭痛が続いたら…「脳腫瘍」のサインかもしれない 年間2万人が発症
日本人の4人に1人は頭痛を抱えている。中でも、一日中、頭全体が痛い、痛み止めを飲んでも改善しない場合には注意したほうがいい。「脳腫瘍」のサインかもしれない。「くどうちあき脳神経外科クリニック」院長の工藤千秋氏に聞いた。
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脳腫瘍は、頭蓋骨内にできた腫瘍の総称だ。肺がんや乳がんなど、他の部位から転移した「転移性脳腫瘍」と、脳の細胞や神経、脳を包む膜から発生した「原発性脳腫瘍」に分けられる。さらに後者は良性と悪性に分類され、良性は増殖が緩やかで、正常な組織との境が明確なのに対し、悪性は増殖スピードが速く、正常な組織との境がはっきりしない。
国立がん研究センターによると、国内で年間2万人が発症するとされ、小児から高齢者まで幅広い年代に起こる。
「原発性脳腫瘍だけでも150種類あり、腫瘍ができた部位により症状が異なりますが、一般的に頭全体の痛みが特徴で、痛みは1週間、2週間、1カ月など長期間にわたって持続します。中でも朝起きた際に強い頭痛が生じる『モーニングヘッドエイク』を訴える人が多い。睡眠中は二酸化炭素が体内にたまりやすく、血管が拡張するのと同時に周囲にある痛みをつかさどる神経も広がります。腫瘍があるとその神経を圧迫してしまうので、寝起きに頭痛が起こるのです」