夏の脳梗塞…後遺症を残さない血栓回収療法は時間との勝負

公開日: 更新日:

 とりわけ夏の時季は軽い熱中症を疑って病院を受診したら、実は脳梗塞だったケースも珍しくはないという。重い後遺症を残さないためにも、少しでもいつもと違うと感じたらすぐに救急車を呼んだ方がいい。

「脳梗塞の治療はとにかく時間との勝負です。一般的には、t-PA療法(血栓溶解療法)と呼ばれる、脳血管に詰まった血栓を薬で溶かして血流を再開させる治療が選択されます。ただ実施できるのは発症から4.5時間以内と短く、太い血管が詰まっている場合には効果が期待できない。近年は、血栓をカテーテルで物理的に取り除く『血栓回収療法』が広まりつつあります」

 血栓回収療法は、足の付け根などから細いカテーテルを挿入し、カテーテルの先に付いた網目状のステントレトリーバーに血栓を絡めて体外に取り出す治療法だ。血栓ができた位置や大きさによっては、掃除機のように血栓を吸い込む吸引カテーテルを併用し、血流を再開させる。血栓回収療法は発症から8時間以内が適応時間とされ、4.5時間以内であればt-PA療法と同時に行うという。


手術は局所麻酔が基本で、血栓回収療法自体は早ければ10~20分程度で終わります。昨年は50~60件実施し、中には搬送時には会話がまったくできず、手足が動かなかった人でも手術直後から普段通り会話ができて歩けるまで回復される方も少なくありません。ただ、脳梗塞は治療が一分一秒でも遅れると片麻痺や失語、高次脳機能障害といった後遺症が残るリスクが高い。本人や周囲が素早く異変に気付き血栓回収療法を行う病院に搬送してもらう必要があるのです」

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    菊間千乃氏はフジテレビ会見の翌日、2度も番組欠席のナゼ…第三者委調査でOB・OGアナも窮地

  2. 2

    “3悪人”呼ばわりされた佐々木恭子アナは第三者委調査で名誉回復? フジテレビ「新たな爆弾」とは

  3. 3

    フジテレビ問題でヒアリングを拒否したタレントU氏の行動…局員B氏、中居正広氏と調査報告書に頻出

  4. 4

    フジテレビ“元社長候補”B氏が中居正広氏を引退、日枝久氏&港浩一氏を退任に追い込んだ皮肉

  5. 5

    フジ調査報告書でカンニング竹山、三浦瑠麗らはメンツ丸潰れ…文春「誤報」キャンペーンに弁明は?

  1. 6

    おすぎの次はマツコ? 視聴者からは以前から指摘も…「膝に座らされて」フジ元アナ長谷川豊氏の恨み節

  2. 7

    大阪万博を追いかけるジャーナリストが一刀両断「アホな連中が仕切るからおかしなことになっている」

  3. 8

    NHK新朝ドラ「あんぱん」第5回での“タイトル回収”に視聴者歓喜! 橋本環奈「おむすび」は何回目だった?

  4. 9

    歌い続けてくれた事実に感激して初めて泣いた

  5. 10

    フジ第三者委が踏み込んだ“日枝天皇”と安倍元首相の蜜月関係…国葬特番の現場からも「編成権侵害」の声が