肉体労働者が足のケガを放置してはいけないのはなぜ?
以前、糖尿病を患う70代前半の男性が、「足裏にできた胼胝(べんち=タコ)が痛くて歩けない」と受診されました。話を伺うと、定年退職後はオフィスビルの清掃スタッフとして働き、痛みをこらえながらなんとか業務を行われていたそうです。ですが、胼胝がある状態で歩き続けると胼胝の下に潰瘍ができ、万が一、壊疽を引き起こせば足の切断につながりかねません。潰瘍部位に圧がかからないよう「除圧サンダル」を着用し、それでも改善が乏しい場合には、下腿から足部にかけてギプスを巻き、足底にかかる荷重をなくす「TCC(トータルコンタクトキャスト)」を行います。先ほどの男性はTCCを約3週間継続したところ、潰瘍が完治し、現在は仕事にも復帰されています。
足を痛めやすい職業の人ほど、日頃のフットケアを怠ってはいけません。足に傷ができていないか、変形していないか毎日観察し、小さな異常を見逃さないことが重要です。