著者のコラム一覧
酒向正春ねりま健育会病院院長

愛媛大学医学部卒。日本リハビリテーション医学会・脳神経外科学会・脳卒中学会・認知症学会専門医。1987年に脳卒中治療を専門とする脳神経外科医になる。97~2000年に北欧で脳卒中病態生理学を研究。初台リハビリテーション病院脳卒中診療科長を務めた04年に脳科学リハビリ医へ転向。12年に副院長・回復期リハビリセンター長として世田谷記念病院を新設。NHK「プロフェッショナル 仕事の流儀」(第200回)で特集され、「攻めのリハビリ」が注目される。17年から大泉学園複合施設責任者・ねりま健育会病院院長を務める。著書に「患者の心がけ」(光文社新書)などがある。

加齢性骨変化の予防が認知症予防になるのはどうしてか?

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■「脳筋連関」によって脳の萎縮を防ぐ

 ③変形性脊椎症も加齢により生じます。背骨の骨と骨の間にある軟骨でクッションの役割をする椎間板と、後方にあって脊椎の骨同士をつなぐ左右一対の椎間関節が衰えて変性して起こります。

 加齢などにより椎間板が変性すると、その異常な動きを止めるように骨棘(骨のとげ)が形成され、この骨棘が神経を刺激したり圧迫するなどして痛みが生じるのですが、こちらも50歳からの筋肉運動訓練で骨変形や変性の進行を予防できます。

 変形が高度に進んで骨棘が形成され、椎体同士が架橋される椎体間架橋形成などを起こすと、慢性の疼痛や可動域制限が生じ、脊髄の神経根症状(その神経根が支配している部位に出る痛み、異常感覚、筋力低下などの症状)が現れます。さらに、椎体変形や周囲組織の増殖で、変性脊柱管が狭窄化すると「脊柱管狭窄症」と呼ばれ、脊髄や馬尾(脊髄の下端から下に向かってのびる神経の束)の症状を発現します。

 頚部脊柱管狭窄症では、頚部痛をはじめ、手足にしびれや痛みが現れ、手足が動きにくくなります。中でも下肢に脱力が生じたら、急いで脊柱管狭窄を開放する手術治療が必要です。遅れると、転倒して頚髄損傷を招く危険があります。最近は90代でも安全に手術治療が行われて、劇的に改善します。

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