著者のコラム一覧
東敬一朗石川県・金沢市「浅ノ川総合病院」薬剤部主任。薬剤師

1976年、愛知県生まれの三重県育ち。摂南大学卒。金沢大学大学院修了。薬学博士。日本リハビリテーション栄養学会理事。日本臨床栄養代謝学会代議員。栄養サポートチーム専門療法士、老年薬学指導薬剤師など、栄養や高齢者の薬物療法に関する専門資格を取得。

イメージが先行…「胃ろう」は決して“悪者”ではない

公開日: 更新日:

 通常の食事と同様に消化管を介して栄養を投与することになるので、実は胃ろうは生理的な栄養投与方法なのです。それに比べると、点滴はまったく生理的ではありません。口がお腹に移動してきているだけなので、当然消毒なども必要ありません。みなさんは食事をした後、口の周りを消毒なんてしませんよね。それと同じことです。

 もうひとつ、「胃ろうにしたら二度と口から食べられない」というイメージも必ずしも正しくはありません。嚥下障害を起こすような超高齢者の中には、“食べる体力がない”方もいらっしゃいます。そうした方は、胃ろうをつくってそこから十分な栄養補給をしつつ嚥下訓練をすることで、再び口から食べることができるケースもあります。これを「食べるための胃ろう」といいます。食べられるようになって胃ろうが不要になったら、チューブを抜いてしまえば瘻孔は自然に塞がります。ですので、胃ろうは決して最終手段ではないのです。

 今回の話は、すべての人に当てはまるものではありませんし、どんなことがあっても胃ろうを勧めるものでもありません。一方で、イメージだけで胃ろうが悪者になってしまうのも違うと思います。正しく選択されれば、胃ろうはとても有用な方法だということを知っていただきたかったのです。

【連載】高齢者の正しいクスリとの付き合い方

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    立花孝志氏はパチプロ時代の正義感どこへ…兵庫県知事選を巡る公選法違反疑惑で“キワモノ”扱い

  2. 2

    タラレバ吉高の髪型人気で…“永野ヘア女子”急増の珍現象

  3. 3

    ロッテ佐々木朗希は母親と一緒に「米国に行かせろ」の一点張り…繰り広げられる泥沼交渉劇

  4. 4

    中山美穂さんの死を悼む声続々…ワインをこよなく愛し培われた“酒人脈” 隣席パーティーに“飛び入り参加”も

  5. 5

    《#兵庫県恥ずかしい》斎藤元彦知事を巡り地方議員らが出しゃばり…本人不在の"暴走"に県民うんざり

  1. 6

    シーズン中“2度目の現役ドラフト”実施に現実味…トライアウトは形骸化し今年限りで廃止案

  2. 7

    兵庫県・斎藤元彦知事を待つ12.25百条委…「パー券押し売り」疑惑と「情報漏洩」問題でいよいよ窮地に

  3. 8

    陰で糸引く「黒幕」に佐々木朗希が壊される…育成段階でのメジャー挑戦が招く破滅的結末

  4. 9

    大量にスタッフ辞め…長渕剛「10万人富士山ライブ」の後始末

  5. 10

    立花孝志氏の立件あるか?兵庫県知事選での斎藤元彦氏応援は「公選法違反の恐れアリ」と総務相答弁