米軍の方法を改良した「5・5・5呼吸法」はなぜ細胞呼吸を活性化するのか
つまり、息を止めて血液中の二酸化炭素濃度を上げるのは、ヘモグロビンがスムーズに酸素を細胞内のエネルギー工場であるミトコンドリアに受け渡すためで、これが効率的な細胞呼吸につながるという。
呼吸は、経験的に健康長寿につながるとしてヨガや禅などでも強調されてきたが、細胞呼吸の仕組みが科学的に解明されたいま、ますます重要になっている。
■呼吸は自律神経にアプローチする唯一の方法
「生体を構成する60兆個(37兆個との説もある)の細胞一つ一つを取り巻く環境を『内部環境(ガス組成、電解質組成、浸透圧、pH、温度など)』といいます。これを常に一定に保つことがホメオスタシス(生体恒常性)です。健康長寿を実現するには、内部環境を一定で最適に保つことが必要です。それが、命の回数券といわれ細胞寿命の決定因子であるテロメアの浪費防止につながるのです」
内部環境で暮らす細胞は、毛細血管によって運ばれた酸素、栄養素、水分を取り込み、細胞呼吸することで細胞が生きるために必要なタンパク質やエネルギー(ATP)を生産する。いらなくなった二酸化炭素、水分、老廃物(アンモニア、尿素、尿酸など)を内部環境に放出。それを血管やリンパ管が回収して体外に排出している。