がんの温熱療法「ハイパーサーミア」は放射線や抗がん剤との併用で治療効果を高める
もうひとつは、放射線治療や抗がん剤治療との併用で、それぞれの治療効果が高まること。
「放射線治療との併用では、特に42度以上で放射線の効果が顕著に増大します。抗がん剤との併用では、40度前後の温熱でがん細胞への抗がん剤の浸透率が高まります。さらに、放射線や抗がん剤でダメージを受けたがん細胞が再び修復するのを、温熱療法によって抑えられます」
■2023年に初のガイドラインが登場
温熱療法は決して新しい治療法ではない。1975年に京都大学の教授が文部省がん特別研究で取り上げ、1980年代後半から1990年代前半にかけては盛んに行われていた。
しかし、医療機器の使用に技術が必要なこと、放射線治療との併用のみ保険適用だったことなどから徐々に下火に。一方で、温熱療法で効果を得られる患者さんがいることも確かで、研究発表を継続して行う医師、医療機関も少なくなかった。
「温熱療法の効果を示す症例数が発表され、臨床研究によるエビデンスが蓄積し、そして抗がん剤との併用が認められた。2023年には温熱療法の初のガイドラインが発売され、再び注目されるようになったのです」