がんの温熱療法「ハイパーサーミア」は放射線や抗がん剤との併用で治療効果を高める
中部国際医療センターでは、昨年10月から温熱療法をスタート。放射線治療や抗がん剤治療に必要に応じて組み合わせ、さらには高気圧酸素療法もプラスしている。高気圧酸素療法とは、専用装置の中で酸素吸入して血中酸素濃度を高める治療法で、温熱療法と同様に、他の治療法と併行して行われることが多い。
「当院の場合、膵がんⅣ期(末期)でお腹の中にがんが多数散らばっている腹膜播種の患者さんに対し抗がん剤治療、温熱療法、高気圧酸素療法を行った例があります。がんの進行によって数値が大きくなる腫瘍マーカーが当初300ほどだったのが、2カ月後には“基準値よりやや高い”レベルの40~60まで下がり、PET-CTでは腹膜播種がなくなっていました」
打つ手が乏しいがんに対し、従来の治療法である放射線、抗がん剤と温熱療法、高気圧酸素療法を組み合わせて治療成績の向上を目指す。温熱療法は回数の制限がない。皮膚がヒリヒリする、熱感があるなどの副作用はあるが、重篤なものではない。健康保険適用だ。
ただし、全てのがんに対し行えるものではない。また放射線や抗がん剤治療と併用する場合はタイミングが重要で、その機を逃したばかりに受けられたはずの恩恵が得られないこともある。