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中川恵一東大大学病院 医学系研究科総合放射線腫瘍学講座特任教授

1960年生まれ。東大大学病院 医学系研究科総合放射線腫瘍学講座特任教授。すべてのがんの診断と治療に精通するエキスパート。がん対策推進協議会委員も務めるほか、子供向けのがん教育にも力を入れる。「がんのひみつ」「切らずに治すがん治療」など著書多数。

乳がん術後リンパ浮腫はスーパーマイクロ手術で治る可能性

公開日: 更新日:

 厄介な症状を改善するには、とにかくリンパ液の流れを促進すること。その1つが圧迫療法で、弾性スリーブや弾性包帯で、患者さんの状態によって調整しながら流れを促します。理学療法士がマッサージ技術で滞ったリンパ液を排出するのが2つ目。3つ目は、軽い運動で筋肉を刺激してリンパ液の流れを促すことです。

 梅宮さんは今後、抗がん剤を終えてから、放射線治療に進む予定といいます。乳がんの術後放射線治療は、胸壁全体と首の付け根で鎖骨の上の部分に照射すると、周辺のリンパ管なども損傷を受けることがあるため、症状は悪化するかもしれません。

 保存的な治療で効果がない場合、外科的な治療を考えるケースもあります。それに欠かせない技術が、0.3~0.5ミリほどの太さであるリンパ管と同程度の細さの静脈を使ってうっ滞を解消する手術で、スーパーマイクロサージャリーと呼ばれます。

 梅宮さんのケースは、今のところこの技術を用いた手術が必要なほどではないと思いますが、この手術が適応の方に実施できれば症状はかなり改善する可能性がありますが、高度な技術ゆえ高い専門性が必要で実施施設が限られるのがネック。医師や施設の見極めが必要ですが、そんな治療法もあることは男性も覚えておいてよいかもしれません。

【連載】Dr.中川 がんサバイバーの知恵

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