著者のコラム一覧
下山祐人あけぼの診療所院長

2004年、東京医大医学部卒業。17年に在宅医療をメインとするクリニック「あけぼの診療所」開業。新宿を拠点に16キロ圏内を中心に訪問診療を行う。

病院からの引き継ぎなく、いきなり自宅療養が始まった50代女性は…

公開日: 更新日:

 高校卒業後に就職したものの、仕事のミスが多かったり、職場の人間関係がうまくいかず解雇され、障害者枠で約10年間パート勤務をしていました。その後、「双極性障害」と診断され、2年前から在宅医療を受けるようになりました。

 ところが最近になって、同居する80代の母親の認知症が進行し、もともと攻撃的だった性格がさらに激しくなり、患者さんは母親から日常的に罵倒されるようになったのです。

 患者さんの病気は怒りのコントロールが難しく、母親の言葉が次第に怒りの引き金となり、精神的に限界を迎え、再び入院することになりました。しかし、もともと集団生活に馴染めない性格のため、入院中も許可なく外泊をするなどし、最終的には勝手に退院。再び自宅療養となりました。

 本来であれば、病院から訪問診療へ患者さんを引き継ぐ際には、継続的に投薬や必要な処置が受けられるよう、病院側と密に連携しながら退院手続きを進めます。しかし、この時は病院側に退院の意思を伝えることもなく、突然退院していますから、当然、申し送りや引き継ぎはなく、退院当日に病院から突然連絡が入るという状況でした。

 それでも私たちは患者さんの意思を尊重し、即座に環境調整を行いました。なぜなら、「どんな時でも患者さんの事情に寄り添うこと」こそが、最後のセーフティーネットとしての在宅医療に求められる役割だからです。 

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    「たばこ吸ってもいいですか」…新規大会主催者・前澤友作氏に問い合わせて一喝された国内男子ツアーの時代錯誤

  2. 2

    周囲にバカにされても…アンガールズ山根が無理にテレビに出たがらない理由

  3. 3

    インドの高校生3人組が電気不要の冷蔵庫を発明! 世界的な環境賞受賞の快挙

  4. 4

    田中圭が『悪者』で永野芽郁“二股不倫”騒動はおしまいか? 家族を裏切った重い代償

  5. 5

    中森明菜が16年ぶりライブ復活! “昭和最高の歌姫”がSNSに飛び交う「別人説」を一蹴する日

  1. 6

    永野芽郁「二股不倫報道」の波紋…ベッキー&唐田えりかと同じ道をたどってしまうのか?

  2. 7

    レベル、人気の低下著しい国内男子ツアーの情けなさ…注目の前澤杯で女子プロの引き立て役に

  3. 8

    芳根京子《昭和新婚ラブコメ》はトップクラスの高評価!「話題性」「考察」なしの“スローなドラマ”が人気の背景

  4. 9

    永野芽郁“二股不倫”疑惑「母親」を理由に苦しい釈明…田中圭とベッタリ写真で清純派路線に限界

  5. 10

    大阪万博会場は緊急避難時にパニック必至! 致命的デザイン欠陥で露呈した危機管理の脆弱さ