「作業療法士」はリハビリ治療でどんな役割を担っているのか
このように作業療法士の役割は多岐にわたりますが、中でも近年重視されているのが「手」の機能回復で、作業療法士は“手のスペシャリスト”といえます。
どんな作業をするにも手を使うことが大切です。手がきちんと動けばいろいろな作業ができて、日常生活動作を行えるようになります。また、作業をするときは脳を使うので、高次脳機能障害の訓練や精神の安定化につながります。それくらい手を良くすることは重要なのです。
多くの場合、麻痺があって片方の手が使えないと、反対の手を使ってすべての作業を代償してしまいます。そのため、麻痺のある手はガチガチに固まってしまい、廃用手と呼ばれます。しかし、われわれは麻痺のある手の回復をあきらめません。なるべく使えるように生活習慣に落とし込むのがわれわれのリハビリです。少しでも動かせるようにして、物を押さえたり、つまんだり持つことができるようにしていきます。
手というのは、つまむ、握る、開くというのが大切です。これらの動作で、物を移動させるなどさまざまな作業ができるかどうかにつながります。これらは、やらないとできなくなり、固まります。筋肉の緊張を調整しながら、上肢と手の運動を毎日徹底的に繰り返し行うのが大事になってきます。さまざまな作業は、手が基本なのです。