「離婚か義母と同居か、それが問題だ」究極の二択を迫られ右往左往する52歳男性【冷酷と激情のあいだ~男性編~】
52歳、結婚を焦っていた
「冷酷と激情のあいだvol.213〜女性編〜」では、夫を連れて実母のもとで暮らしたい妻・有紀子さん(48歳・仮名)の心情をお届けしました。
夫のユウイチさん(52歳・仮名)は、有紀子さんの希望を知りつつも、計画を進めることはなく、すでに3カ月以上が経過。ユウイチさんは夫婦関係や義実家への転居について、どんな考えを抱いているのでしょうか。
【冷酷と激情のあいだ~男性編~】
「あ〜…、同居の話ですよねぇ…」
ひと言めから、深いため息をついたユウイチさん。今の夫婦関係には、自分なりに多くの課題を感じていると話します。
「僕、初婚なんですよ。で、結婚を焦っているときに出会ったのが妻です。
妻は当時、シングルマザーとして奮闘していて、その姿がかっこよかったんですよね。
こういう女性と結婚をしたら、僕をうまくリードしてくれそうだなって期待もあって結婚をしました。
あ、僕のほうが年下に見られがちなんですけど、実は僕、妻よりも4歳年上です」
義母が苦手なんです
童顔で白髪も少なく、50代になっている今も見た目は40代にしか見えないユウイチさん。普段は妻よりも年下に見られる自分を気に入っているそう。
「夫婦のパワーバランスもなんとなく僕が、年下役になっているのかな」と言います。
「義実家に引っ越すのは、できればしたくないんですよねぇ。
僕、義母が苦手なんですよ。義母も妻の親なだけあって、チャキチャキとした性格。キツいわけじゃないんだけど、何事にもペースが早い人で、ついていけない。
悪い人じゃないんだろうけど、あの義母と一緒に暮らすと、僕の生活の全てが破壊されそうで、ゾッとするんです。
だけど、そんなことを面と向かって妻には言えないじゃないですか。
だから、どうしたらいいのかなぁって考えているところなんです」
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妻は平気で自分を捨てるだろう
妻とは離婚をしたくないけれど、義母とは暮らしたくない。これがユウイチさんの素直な気持ちです。しかし夫婦であるにもかかわらず、妻に対して伝えられないのには、理由があって…。
「素直な気持ちを言おうとしていた矢先に、妻から離婚を提案されちゃったんです。離婚はしたくないから、僕は黙るしかないじゃないですか。
妻はひとりでも生きていけるタイプだし、ぶっちゃけると、妻の実家は僕の実家よりもお金持ちです。
だから僕がいなくても、すでに子育ても終えた妻は、フルタイムで働かなくても十分に豊かな生活ができちゃうんですよね。
そういうのを考えると、僕を妻は平気で捨てるだろうから…、本音なんて、とてもじゃないけれど言えません」
夫婦間の衝突は避けられないけれど
このまま「実母と暮らしたい」という妻の願いを聞き入れなければ、遅かれ早かれ夫婦間には大きな衝突が生まれると、ユウイチさんは想定。
しかしその衝突をうまく回避する方法が見つからず、時間ばかりが過ぎている状況だそうです。
「参りましたよね。ほんと。義母と同居をするか、離婚をするか…。僕にとっては究極の二択しか残されていないわけですよ。
ぶっちゃけ、どっちも嫌ですからね。
妻がもうちょっと僕の気持ちを聞き入れてくれる人だったらよかったのに…は理想ですけど、それは絶対に叶わないから、究極の二択から選ぶしかない。
僕だけ今のマンションに住み続けて、妻は実家で暮らす別居婚もアリかなって考えたんですけど、妻としては今の家を賃貸に出したいみたいだから、それも難しそうなんですよね。
どうするかなぁ…。そろそろ決断しないといけないってのはわかっているんですけど、どちらの選択も気乗りしないから、動く気になれません」
◇ ◇ ◇
恋人同士であれ、夫婦であれ100%同じ価値観を有する男女は稀です。ましてや交際前の男女となれば、なおのことです。少しのすれ違いが、大きな溝に発展することも少なくないのが異性間における現実でしょう。
まさにこれこそが、男女関係における醍醐味にもなれば致命傷にもなる“冷酷と激情”のはざまなのかもしれません。
(並木まき/ライター・エディター)