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岸山真理子ケアマネジャー

1953年静岡県生まれ。大学卒業後、30代まで単純労働の現場を渡り歩く。38歳での出産を機に正規職員の仕事を求め、介護職員に。その後、47歳でケアマネジャーになり、以来20年以上にわたって介護現場の最前線で奮闘する。毎朝のストレッチを欠かさず、真剣に「88歳現役」を見据える。「ケアマネジャーはらはら日記」(三五館シンシャ)がベストセラーに。

「90代の就活」に挑んでいた渡辺さん…その意欲を思い出し、元気づけられた!

公開日: 更新日:

 渡辺さんは太く短い首に片手を当てて吐息をついた。それまで渡辺さんは、運行係の収入と国民年金でほそぼそと暮らしてきた。妻とは死別、子はいない。私は彼とハローワークに行ったが、その日、就職先は見つからなかった。

 1週間後、渡辺さんから電話がきた。すると「僕、台湾出身の女性と結婚することにしました」と突然の告白だ。私が渡辺さん宅を再び訪ねると、肉感的で妖艶な雰囲気の女性が現れた。彼女の名前は桂華さん。当時60歳。「親子ほど年が離れて年甲斐もないけど」と渡辺さんは薄くなった頭を照れくさそうにかいている。知人から彼女を紹介され、なんと交際ゼロ日婚をしたという。そのころ、低年金の男性と外国人女性をマッチングさせるといった怪しげなネットワークが県営住宅内に形成されていた。話を聞いた瞬間、私は素直に渡辺さんを祝福する気持ちにはなれなかった。

 台湾出身の桂華さんは30年前、日本人男性と結婚し、男子を出産したが、DVが理由で離婚。日本中を転々として底辺の仕事に就いてきたという。

「私、千葉の畑で野菜をカットする仕事していた。東日本大震災で住んでたアパート倒れたよ」

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