更年期め、50代手前で不眠で悩むとは…「大変だ、眠れない!」試行錯誤の睡眠導入術【日日更年期好日 #7】

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コクハク

生まれついての睡眠自慢、崩れる

 女性なら誰でも通る茨の道、更年期。今、まさに更年期障害進行形の小林久乃さんが、自らの身に起きた症状や、40代から始まった老化現象についてありのままに綴ります。第7話は「大変だ、眠れない!」。

【日日更年期好日】

「ん~…うあ~…」

 とある深夜2時。私はベッドに入って、天井を見上げて唸っていた。日常生活で悩みがあるわけではなく、眠れないのだ。

 子どもの頃から40代前半に至るまで「眠れない」という体験をしたことがなかった。勉強も仕事もパッとした人生ではないと思うが、寝付きの良さだけは天下一品。もしこの世に『快眠賞』があったら、受賞連覇していた自信がある。

「ひさちゃんってさ、本当に寝つきがものすごくいいよね。俺、なかなか眠れない時もあってさ」

 30代で交際していた恋人に入眠の良さ、睡眠の深さをうらやましがられたことがある。彼の一言のおかげで、自分の睡眠の質が良いことに気づき、同年代に「眠れない」という人がいることを知った。それほど眠ることには自信があった。


【こちらもどうぞ】更年期、私はこれで対処しています①漢方薬服用歴15年超、「意味あるのか?」と医師に尋ねた【日日更年期好日】

 が、50代を前にして不眠に悩むことになろうとは予想だにせず。

 結局この夜は深夜3時過ぎまで眠れなかった。0時にはベッドに入っていたので、3時間も無駄にしたことになる。以前、眠れないときは潔くあきらめて、ベッドを出て、眠くなるまで別のことをすると良い…読んだ。

 が、明日の仕事のことを考えると「寝なきゃ」と、ベッドから出る勇気がない。古臭い表現になるが、目がギンギンのまま夜は深まっていった。

No Life,No Sleep.

 翌朝、いつも通り7時には目が覚めたけれど、体と頭がズーンと重い。仕事を始めようとパソコンに向かうものの、脳内に靄がかかったように、ぼんやりとしている。

「あなたは力仕事でもないんだし、デスクワークでしょう?」

 いや私のようなデスクワーク人間こそ、生活リズムが少し乱れるだけで、パフォーマンスに影響が出る。これが、若かったら短時間睡眠でもとっとと脳が回復する。でも二日酔いの回復に二日かかるような年頃になると、睡眠不足にもリカバリーの時間がかかる。

 これもどうやら更年期のせいだ。今日も、明日も、その先もずっと眠れなかったら、それこそ死活問題になる。

 まだ睡眠薬のお世話にだけはなりたくないし、漢方薬が加味逍遙散(更年期治療薬)とは別に投入されるのは勘弁してほしい。

 私は睡眠不足による食いっぱぐれを避けるために、睡眠改善について調べ始めた。出版社勤務経験を経た、現役の編集者でもある。「調べる」「ソースを取る」という行為に関しては、異様な力を発揮する。

 まずは原因究明だ。

 更年期の眠れない原因はいくつかある。代表的なところで、ホットフラッシュといった体異様に熱くなり、寝つけなくなってしまうパターンがある。私の場合は単純に眠れないだけ。原因はエストロゲンという女性ホルモンの低下によって、セロトニンの減少も同時に引き起こる。

 良質な睡眠には不可欠なホルモン、メラトニンはセロトニンを主原料としているので、不眠になってしまう云々。要は自律神経の乱れた、緊張状態にあるらしい。

 連載では「のぼせる」「めまい」「倦怠感」などの体験談を、少しずつ公開してきたが、ヒトの体とはどこまでホルモンに采配されているのだろうかと『踊る大捜査線』(フジテレビ系・1997年)の室井慎次のように眉をしかめる。

 もう全てをホルモンのせいにしたいけど、したところで何の解決策にもならない。解決策を探すしかないんだ、私!

私が眠れた2つの方法

「調べる」と決めたその日から、“当たり前に眠る”ことで脳内はいっぱいになった。読書、聞き込み、インターネット、新聞と情報を集めつつ、実行していくと、いくつか効果が見られる方法があった。どうやら緊張状態を「ゆるめる」ことがカギだ。

 スポーツ選手のごとく、高級マットレスを導入も検討した。でもあきらかに高額だ。購入をするのならまずは資料から集めて…なんて進めていると、我が家にやってくるのはだいぶ先になる。

 ダメだ。私が眠れないことで困惑しているのは、今夜の問題なのだから。

 金がないなら知恵を絞れと、仕入れた情報を片っ端から試した。個人的に推したいのは『筋弛緩法』と呼ばれているもの。ベッドに入ってから、全身に力を入れて(怒り肩になるように)、10秒したら、スッと力を抜く。これを4~5回繰り返す。この動作を終えると「いつの間にか寝ている」という状態が私に元に戻ってくるではないか。眠っているけど、歓喜!

 いわゆる『瞑想』も眠りにつくことができた。ベッドに入ってから、自分の呼吸だけに意識を向けて、余分なことを考えない。普段、仕事を始める前に瞑想をすることがあるので、体が慣れていたのかよく効いた。これも喜びの舞!

 ローラーを使ったストレッチや、YouTubeを見ながらヨガも試しているけれど、私には上記2点の方法が性に合っていた。ちなみに飲酒をしてから寝るのは、ただ気絶している状態だけらしいので、ご注意を。

睡眠導入術の旅は続く
 また今夜も就寝時間はやってくる。心なしか「眠れるだろうか」と、緊張する時もある。自分に見合う睡眠導入術は見つけたけれど、これにもいつか“慣れ”が訪れるだろう。

 改めて子どもが遊び疲れて、電池切れして寝てしまう状態は、理想だ。そういえば、と医師が推奨する「更年期には適度な運動を」のアドバイスがチラつく。今夜は眠れるように、疲れてみるか。

(小林久乃/コラムニスト・編集者)

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