トリゼンHD 河津善博社長<3>養鶏場は1つに絞り、飲食店を38店舗に拡大 鶏糞の肥料化も
だからこそ品質を重視する。徹底した処理のもと、福岡なら半日のうちに、東京には空輸で各店舗に届けて高い鮮度での提供を心がけている。
■開放鶏舎へのこだわり
そして、ウインドーレス鶏舎が増加する日本において開放鶏舎にこだわり続ける。「ウインドーレスが悪いとはいいませんが、今や世界ではアニマルウェルフェアの考えが一般的です」と河津氏。アニマルウェルフェアとは家畜は死を迎えるまでストレスなく健康で幸せな生活を送るべきであり、飼育者にはその責任があるという考え方だ。河津氏は命を扱う以上、向き合うべきことだと語る。
2015年にはトリゼンフーズの社長職を長男に譲り会長に就任。さらに19年には、ホールディングス化してトリゼンダイニングとトリゼンオーシャンズを新設分割。ダイニングは次男が代表を務めている。
ホールディングスの代表となった河津氏が力を入れているのがトリゼンオーシャンズの事業だ。トリゼンの養鶏数は年間約600万羽で、3万トン以上の鶏糞が生じる。産業廃棄物として処理していたが温室効果ガスや臭気の問題に頭を抱えていた。そこで河津氏は窒素やリンが豊富な鶏糞の肥料化に着手。「華燦々」というバイオエキスを開発し、これを鶏糞に散布したところ、悪臭や大腸菌が取り除かれた鶏糞由来肥料「華煌ら」が誕生した。