東京計器 安藤毅社長(6)国から157億円の一括返還を求められ会社に大激震が
「この子会社は防衛省関連の事業とは直接関係のない、道路工事関係のメーカーでした」
道路の平坦度を計測したり検査したりする機器を製造していたが、公共事業削減のあおりを受けて業績が低迷していたのだった。
これまでは新しいものを創り出す、どちらかといえば「攻め」の仕事を得意としてきた安藤氏だが、この時は経営再建という「守り」の仕事に取り組むことになった。
「これといった打ち手がなく、大変な役割でした」と安藤氏は振り返る。それでも不採算事業を取りやめるなど、事業の選択と集中やコストカットを進めていった。
「ですがリストラなど、人の雇用だけには手をつけないようにしました」
この「守り」の仕事では、どんなことを意識していたのだろうか。
「会社の調子があまりよくないこともあり、雰囲気はどうしても暗かった」と安藤氏。
業績が悪いという現実は直視しつつ、一方で明るい未来への展望を忘れないという、視野のバランスに注意を払ったという。