安倍派を待つ地獄道…裏金疑惑と無関係の若手離脱、「5人衆」含む幹部壊滅で存亡の機
不起訴でも検察審査会
「この事件は国民の関心が高く、検察が大物議員に忖度や手抜き捜査をすれば、世論が許さない。安倍派幹部が起訴を免れたところで、必ず検察審査会にかけられます。世論の後押しもあって、検察審査会を経て略式起訴される可能性は非常に高い。略式命令の罰金刑でも公民権は停止されます」(政治評論家・本澤二郎氏)
2020年に公選法違反で刑事告発された菅原一秀元経産相も、いったん不起訴になったが、21年の検察審査会で「起訴相当」の議決が出て「罰金40万円・公民権停止3年」の略式命令を受けた。来夏まで選挙に出ることはできない。
野党の小沢一郎衆院議員は、民主党代表時に資金管理団体「陸山会」の土地取引をめぐって09年に市民団体が刑事告発。不起訴処分の後に、検察審査会を経て強制起訴された。12年に無罪が確定するまで3年かかり、その間に政治力を大きくそがれた。
政治家にとって、事件の長期化は致命的だ。捜査開始から検察審査会の議決まで1~2年は身動きが取れない。その結果、公民権停止になれば、さらに数年間を費やすことになる。安倍派の幹部も、数年にわたって事件に縛られ続け、表舞台に返り咲くことはできない可能性がある。
「桜を見る会」前夜祭の問題で告発され、検察審査会にかけられた安倍元首相は「不起訴」で捜査が終結したが、安倍派の“守護神”だった黒川弘務・元東京高検検事長はもういないのだ。
「福田赳夫元首相が創設した清和会は存亡の機を迎えている。もともと清和会には福田系と、タカ派の安倍(晋太郎)系の2系譜がありますが、今回の事件で裏金幹部が一掃されたら、当選4回の福田達夫元総務会長がトップに就いて、若返りと原点回帰をはかるしか派閥存続の道はないでしょう」(本澤二郎氏)
最大派閥の崩落は日本政治にどう作用していくのか。事件の影響は長引きそうだ。