ニチイHD(上)日本生命保険による買収の舞台裏
1年更新の損害保険と異なり、生命保険は契約してしまえば事足りるというわけで、生保はどうしても顧客との接点が少ない。いかにして顧客との接点を強化するかに各社は創意工夫を凝らす。
日生が目を付けたのが介護サービスだった。平均寿命が大きく延びていることから市場拡大が見込める。介護や保育に対応した保険商品や保険についている介護サービスの強化などが軸となる。ニチイが持つ顧客基盤を生かし、生保事業との相乗効果を狙うというシナリオだ。ニチイのサービスが加わることで、顧客との接点が多くなることを期待している節がある。
「23年春、ニチイHD株を保有する米投資ファンドのベインキャピタルから売却のオファーを受け、業容拡大の好機とみて日生は買収を決断した」(M&Aに詳しいアナリスト)
ベインキャピタルの側から見れば、ニチイHDを高値で売り抜ける出口戦略にほかならない。ベインがニチイHDを買収することになったそもそもの発端は、ニチイ学館の創業家の遺産相続だった。
「投資ファンドがニチイを買収して荒稼ぎした」とM&Aの歴史には書かれているらしい。ニチイがベインに買われるまでの経緯を振り返ってみよう。 =つづく