おてつたび 永岡里菜社長(1)旅をしながら人手不足の地域でお手伝い
東京に憧れて上京したが
「表参道とか渋谷とか、東京への憧れがすごくあったんです。半面、少し怖そうなイメージもあったので、隣県にある千葉大学を選びました」
尾鷲は漁業と林業が盛んで、景色が美しく、地元の人たちも優しい。しかし、観光名所がないせいか、知名度はいまひとつだ。
上京してからは、「尾鷲? どこそこ?」と聞かれることが多く、尾鷲に行ったことがある人は、周囲にはほとんどいなかった。
東京に憧れて上京した永岡ではあったが、住み慣れてみると、どこか味気なさを感じるようになり、ふるさとの魅力を再認識した。
さらには、地域活性化事業に取り組む会社に勤め、全国を飛び回るうちに、尾鷲と同じように、知名度は低くても魅力にあふれる地域がたくさんあることに気がついた。
「これらの地域にもっとスポットライトがあたるような世界をつくりたい」という思いが、永岡の胸に募っていく。
その後、試行錯誤を重ねながらも、人手不足に悩む地域の声を聞いたのをきっかけに、永岡はおてつたびというビジネスモデルを生み出したのだった。
2019年1月にサービスを開始して以来、ユニークなビジネスモデルが注目を集め、クチコミやリピーターも多く、利用者はぐんぐん伸びていった。
現在、登録ユーザーは約5万6000人、登録事業者は約1400件までに膨らんでいる。(つづく)
(ジャーナリスト・林美保子)