北越コーポレーション(上)株主総会で社長解任決議案は否決されたが「賛成38%」の波紋
4割近い賛成票が集まった事実は重い
米議決権行使助言会社のグラスルイスは岸本社長の解任議案には反対を推奨。グラスルイスは「北越コーポが好業績であることについてオアシスなどが反論できていない」ことを反対の理由に挙げた。会社提案の買収防衛策の発動を承認する議案に関しては反対を推奨した。
もう一つの議決権行使助言会社、インスティテューショナル・シェアホルダー・サービシーズ(ISS)もオアシスの株主提案と会社側の買収防衛策の発動提案に反対を推奨した。
大株主2社の挟撃に遭った北越コーポの株主総会で株主がどういう判定を下すかが注目された。
7月4日、関東財務局に提出された臨時報告書によると、オアシスが提案した岸本社長の解任議案に対する賛成比率は38.17%で過半数に達せず否決された。オアシスと大王海運以外に賛成を得られなかった格好だ。それでも解任決議に4割近い賛成票が集まった事実は重い。
オアシス、大王海運が求めた社外取締役解任、選任の議案もいずれも否決。大王海運に対する買収防衛策の発動の議案は53.87%の賛成で可決された。滑り込みセーフだった。
岸本社長ら現経営陣は投資ファンド側の攻撃をひとまず退けた。総会前に示していた、4位大王製紙への出資比率を約25%から20%まで引き下げる方針にもお墨付きを得た。
ペーパーレスのネット時代の到来で紙の需要は構造的に減り続け、再編圧力は、いやが上にも増す。
長年の懸案だった王子ホールディングス、日本製紙に続く第三極を形成する動きが、今後の焦点となる。第三極をつくることが岸本社長の悲願でもある。 =つづく