著者のコラム一覧
有森隆経済ジャーナリスト

早稲田大学文学部卒。30年間全国紙で経済記者を務めた。経済・産業界での豊富な人脈を生かし、経済事件などをテーマに精力的な取材・執筆活動を続けている。著書は「企業舎弟闇の抗争」(講談社+α文庫)、「ネットバブル」「日本企業モラルハザード史」(以上、文春新書)、「住友銀行暗黒史」「日産独裁経営と権力抗争の末路」(以上、さくら舎)、「プロ経営者の時代」(千倉書房)など多数。

セブン&アイHD(上)カナダのコンビニ大手が買収提案の衝撃

公開日: 更新日:

 経済安保の観点から見ておこう。セブンは外為法の対象になっている。今回の買収提案が、日本の経済安全保障の議論を呼び起こすことになる。友好か敵対的であるかにかかわらず、セブンの事業が国の食料安全保障に影響を及ぼすと判断した場合、国が投資の変更や中止を命令することができる。

 米国でも壁が立ちふさがる。セブンは21年に米のガソリンスタンド併設型コンビニ、スピードウェイを買収するなどして、現在は米国のコンビニ業界でのシェアは8%で1位。クシュタールは4%弱で2位だ。買収が成立するとシェアは12%近くに高まる。

 米ロイターは10日、米連邦取引委員会(FTC)が独占禁止法に抵触するかどうかを調査する方針を決めたと報じた。

 英紙フィナンシャル・タイムズは、買収で合意しても、米規制当局の承認を得るには、事業分割を提案する必要があると伝えている。

 クシュタールは21年にフランスのスーパー大手、カルフールに買収を提案したが、フランス政府が食料安保を理由に拒否し、買収を断念した。クシュタールによるセブンの買収は難しいという結論だ。

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    巨人今季3度目の同一カード3連敗…次第に強まる二岡ヘッドへの風当たり

  2. 2

    大阪・関西万博の前売り券が売れないのも当然か?「個人情報規約」の放置が異常すぎる

  3. 3

    大谷翔平の28年ロス五輪出場が困難な「3つの理由」 選手会専務理事と直接会談も“武器”にならず

  4. 4

    ヤクルト茂木栄五郎 楽天時代、石井監督に「何で俺を使わないんだ!」と腹が立ったことは?

  5. 5

    バンテリンドームの"ホームランテラス"設置決定! 中日野手以上にスカウト陣が大喜びするワケ

  1. 6

    菜々緒&中村アン“稼ぎ頭”2人の明暗…移籍後に出演の「無能の鷹」「おむすび」で賛否

  2. 7

    巨人「先発6番目」争いが若手5人で熾烈!抜け出すのは恐らく…“魔改造コーチ”も太鼓判

  3. 8

    ソフトバンク城島健司CBO「CBOってどんな仕事?」「コーディネーターってどんな役割?」

  4. 9

    テレビでは流れないが…埼玉県八潮市陥没事故 74歳ドライバーの日常と素顔と家庭

  5. 10

    国民民主党は“用済み”寸前…石破首相が高校授業料無償化めぐる維新の要求に「満額回答」で大ピンチ