マスク氏率いる政府効率化省への抵抗…暴力なきクーデターの恐怖、「言葉狩り」まで始まった
■民主主義はどこへ
さらには財務省や内国歳入庁などの機密データにアクセスし、国民の個人情報も取得しているとみられている。それをトランプ大統領に指名されただけで議会の了承も得ていない一個人のイーロン・マスクがやっていて、その実態は限りなく不透明だ。これはもう暴力を伴わないクーデターではないかという怒りも広がっている。
またトランプはDEI(多様性・公平性・包括性)の施策を全面的に廃止したが、それに伴う「言葉狩り」も始まっている。各省庁のサイトから「トランスジェンダー」が消えただけではない。国立科学財団は、大統領の意向に反する可能性がある単語を集めNGリストを作成したと報じられている。その中には「黒人、ヒスパニック、障害、偏見」などと共に「女性」も含まれていたため、「白人男性以外は全て否定するのか?」という驚きと憤りが広がっている。
多様性を否定し、均一な社会のみが国家に強さをもたらすというのは、ファシズムの考え方だ。さらに言論の自由が失われ、アメリカが民主主義から独裁に向かっているという危機感は募るばかりだ。抗議する自由まで奪われる前にできることをしなければという思いが、ニューヨークのリベラルたちを駆り立てている。