ラグビー代表HCに聞く 「他競技からスカウトしたい選手」
――選手個々に合った調整法を取り入れているのですね。
「サントリーのアドバイザーとして来日した時、『それぞれの選手に合った練習をさせた方がいい』と進言したところ、当時のコーチから『それはできません』と言われました。日本の社会では和が重視されますが、社会とスポーツ界は違う。チーム内には実戦的な練習が必要な選手もいれば、フィジカルの強化を図らなければならない選手もいるでしょう。個々の能力、力量を無視して全体練習に時間を割いていてはチーム力の向上にはつながりません。残念ながら、今でもトップリーグにはそのようなチームは存在します。当然、結果は伴っていません」
――野球はメジャーリーグ、サッカーは欧州リーグのように、ラグビーでもトップクラスの選手は海外の強豪国でプレーするのが強化につながるのではないですか?
「19年のW杯日本大会までに日本が強豪国になるには代表のスタメン15人のうち、海外でプレーする選手が75%(約11人)を占めれば、可能だと思います。才能ある選手やプロになりたいと考えている選手は積極的に海外のチームに所属してレベルアップを図るべきです。今の日本代表でいえば、(18歳7カ月27日の日本代表最年少出場記録を持つ)藤田慶和選手(早大)、(高校卒業後に南アに渡った)松島幸太朗選手(現サントリー)ら、才能に恵まれた選手は海外でプレーすべきでしょう。私は藤田選手がスーツにネクタイでサラリーマン生活を送る姿は想像できません(笑い)」