ハム大谷は15勝で濃厚も…揺らぐ「沢村賞」の価値と受賞基準
例えば、92年の野茂英雄(当時近鉄)は30試合18勝8敗、防御率2.66、216.2回、17完投、228奪三振、勝率.692。選考基準7項目中6項目をクリアしながら「落選」した。同年のリーグ優勝に貢献した西武の石井丈裕は、27試合で15勝3敗、防御率1.94、148.1回、8完投、123奪三振、勝率.833。わずか4項目の条件しか満たさなかったにもかかわらず、「優勝への貢献度と投球内容の印象度を重視した」(選考委員の座長だった別所毅彦氏)という判断で、沢村賞を取った。
評論家の高橋善正氏は「今の基準なら今年の大谷にも沢村賞の資格はある」とこう続ける。
「数字自体は他を圧倒している印象はないですが、大谷は160キロ超えの直球でファンを魅了し、しかも打者との二刀流での15勝なら価値はあります。現在12勝の前田健太(広島)などが今後、大谷の数字を超えても、インパクトで劣る。92年の石井が選考基準7項目中4項目で沢村賞を取った前例がある以上、判断基準は関係ない。むしろプロ野球界への貢献度を考えれば、受賞に値すると思います」