難関資格を次々取得…元関脇・隆乃若は現在“大学3年生”
尾崎さんは元力士タレントとして、講演やイベントを通じて相撲の楽しさを伝えている。モンゴル勢を筆頭に、外国人力士に席巻されている現在の相撲界に至った背景をこう分析する。
「色々な方から『日本人力士はなぜ外国人に圧倒され続けているのか』という質問を受けますが、その原因はまずモンゴル人の反応の速さです。私も朝青龍と何度も対戦しましたが、番付上位のモンゴル人は150キロ近い体重を自由に操れるので何をやっても先に先にいかれてしまう。今の同体格の日本人力士にあの反応の速さは真似はできない。残念ながら民族的なものもあるでしょう」
もう一つは身体能力の高い選手が相撲界に流入しない現状だ。
「日本にも身体能力の高い子供は大勢いますが、大半は野球やサッカーの方に流れてしまいます。その方がお金を稼げるでしょうし、相撲界にはやはり独特のイメージもありますから。能力の高い子供たちが相撲界に入ってこないと、今の流れは変わらないでしょうね」
■貴乃花には「勝てる気がしなかった」
尾崎さんが現役時代だった頃も、武蔵丸、朝青龍ら強い外国人力士はいた。一方、日本人にも番付上位に名を連ねる実力、能力を持った力士が大勢いた。その代表格が幕内優勝22回を誇る横綱・貴乃花(現貴乃花親方)だった。
尾崎さんは本場所で5回ほど対戦したが、見事に全敗。「勝てる気がしなかった」と苦笑いを浮かべ「強さ」をこう振り返る。
「貴乃花さんは仕切りの際、全く相手の目を見ない。それでいて、相撲が始まるとじっくり相手に合わせて攻めるので、奇襲を含め、何をやっても通じませんでした。体重は160キロぐらいで私より10キロぐらい重かっただけなのに、体幹や腰が鍛えられていたので、下半身も全くブレない。どの時代の横綱、大関も間違いなく強いですが、今、貴乃花さんがいたら、外国人力士も太刀打ちできないでしょう」
今後、貴乃花のような日本人力士が出てきてほしい気持ちは強い。だからこそ、今後の角界への期待には力が込もる。
「能力のある若い日本人の子たちが積極的に相撲界に入ってこれるよう、相撲界にはいい雰囲気を作りだしてもらいたいです。私も相撲界を見守りながら色々な仕事にチャレンジして、自分を高めていくつもりです。チャンスがあれば、若い世代に相撲を教えたいという気持ちもありますからね」
タレント人生を歩んでいても、相撲界のことを常に気にかける尾崎さん。今後も角界を見守りながら、第2の人生を自らの手で切り開いていく。
▽おざき ゆうき 1976年4月、長崎県生まれ。現役時代の四股名は隆乃若勇紀。92年3月に鳴戸部屋に入門し、初土俵。99年11月初入幕。番付最高位は03年1月の関脇。金星1個(武蔵丸)、十両優勝1度(06年9月)。07年9月に現役引退、08年からタレント活動を開始。11年11月に宅地建物取引士の資格取得。他に、甲種防火管理者、甲種防災管理者、フィナンシャルプランナー、管理業務主任、住宅ローンアドバイザーの資格も持つ。特技ピアノ。身長190センチ、体重100キロ。父親は元ヤクルトアトムズの尾崎亀重氏。家族は夫人と長女。