「禁止薬物」垂涎の市場 ロシアン・マフィアが日本を狙う
昨年12月に政府が閣議決定した2016年度のスポーツ関連予算は前年度比34億円増で過去最高の324億円。強化費名目である競技力向上事業には87億円が計上された。来年度以降も増額が見込まれており、トップレベルの選手には潤沢な強化費用が注がれる。その配分を決める日本スポーツ振興センター(JSC)の他に、東京五輪開催が決まってからは、地元にゆかりのある選手に強化費を支給する自治体もあり、トップ選手になれば月額200万円以上の助成を受けるケースもあるとみられる。
日本オリンピック委員会(JOC)は、東京五輪での金メダルの数を「世界3位」、25~30個を目標に掲げ、その他に全28競技の入賞(8位以内)も求めている。柔道や水泳、レスリングなど金メダルが期待される競技はもちろん、入賞さえ厳しいマイナー競技の選手や指導者にかかる重圧は想像に難くない。
■巧妙な選手への接触方法
「だから怖いのです」と、スポーツライターの工藤健策氏がこう続ける。
「地元開催の五輪が近づけば、例のごとくスポーツマスコミの過剰報道などで日本列島にメダル量産の機運が高まる。選手や指導者には想像できないほどの重圧がかかってくるはずです。それをバネにできるメンタルの強い選手や指導者ばかりではない。薬物の力を借りたくなる誘惑にかられる者がいても不思議ではない」