口で注意も“暴力” 高校野球指導者が直面する「受難時代」
■明徳義塾2季連続初戦敗退の背景
寂しかったのは昨夏、今春と2季連続で初戦敗退を喫した明徳義塾(高知)である。初戦で龍谷大平安(京都)に完敗。例年のチームより打線が弱いように見えた。長い付き合いになる馬淵監督の指導は今でも厳しい。野球部の生徒の授業は午前中のみで練習は昼から。これまで豊富な練習量が強豪校を支えてきたが、今の子供たちはパンクしてしまう。いや、その前に逃げてしまう。
馬淵監督はスパルタなイメージがあるため、関西方面の有望な中学生から敬遠される傾向があるのではないか。だからやりたい野球ができない。そんなジレンマが見ていて分かった。
臨時コーチとして全国を回っていると、必ずといっていいほど、「選手を殴らないでくださいね」と念を押される。そんなことをするつもりはないが、私はそういうイメージなのだろう。ただ、口で注意することさえ「言葉の暴力」と言われてしまうことがある。ならば、どうやって教えろというのか。全国で指導者と選手の立場の逆転現象が起きているのを身をもって感じる。私と渡辺はつくづくいい時に横浜高を去った。厳しい指導がウリだった名将にとって、受難の時代はもう始まっている。