上田利治氏の西京極“サイン違い事件” 元阪急コーチが語る
「クマ、すまんな。ひょっとしたら、蚊をたたこうとして膝下を押さえたかもしれん」
西京極球場は当時、蚊が多くベンチで蚊取り線香をたいていた。あるいは蚊にさされ、かゆくて膝下をかいていたのかもしれない。
「ええで、ええで」のフレーズが有名だが、上田監督はサインミスやサインの見落としに厳しい人だった。外国人助っ人がわたしのサインを見落としただけで、しばらく試合に使わなかった。規律や細かいプレーに厳しい指揮官だからこそ、阪急を常勝球団に変え、75年から3年連続で日本一に導いたのだと思う。ご冥福をお祈りします。
(大熊忠義・元阪急ブレーブス・コーチ)