テニス協会とは“水と油” 伊達公子がツアーコーチになる日
「現時点でコーチになるという考えは自分の中では生まれてきていない」
20日、日本外国特派員協会で引退について語った女子テニスの伊達公子(46)。「コーチのタフさ、難しさは分かっています。自分が言葉にして伝える側になる場合、自分自身も勉強が必要になる」と話す一方で、「今、日本の柱に錦織圭がいますが、一時的なものではなく、もっと長いスパンで、本当の意味でテニスというスポーツが定着してどの時代にもテニスが大きな位置付けになるために、もっと施設やソフトの部分で充実させることに関わっていきたい」とも語った。
1996年に引退するも、2008年に37歳で現役復帰したレジェンド。日本テニス界のシンボル的存在だけに、「施設やソフトの充実」に関わりたいなら協会入りの選択肢も浮上しそうだが、「組織への加入は難しい」とスポーツライターの武田薫氏がこう言った。
「(日本テニス)協会も伊達を呼びたい気持ちはあれど、彼女がおとなしくしているはずがない。呼んだ方は、自分の立場がなくなるから声をかけないだろうし、かけられた伊達も、本気でやる人間なので反発する。若い頃から組織の古い体質を見聞きしているから、誘われても断るでしょう。男女ともに次世代が育っていないことを肌で感じているのは伊達くらい。これほど長い間、テニスを見てきた選手は他にいませんから。レジェンドコーチとして、その場にいるだけでも若手には効果的。今はテニスの選手寿命が延びているので、伊達のようにケガを克服してどれだけ長くやるか、錦織や他の選手にも教えるべきです」
伊達はすでに奈良くるみら若手有望株の相談に乗り、プロツアーで必要なことも伝えてきたという。「施設」はともかく、協会以外の場所で「ソフト」を充実させようと思ったら、落ち着く先はツアーコーチが自然。心変わりするのは時間の問題ではないか――。