仲間と合同が主流の今でも 孤独な自主トレには効用がある
ちょうど1年前、巨人の菅野智之(28)がハワイで行う恒例の自主トレを見た。たまたま同時期に現地に滞在していたため連絡を取ると、「3勤1休でやっていますから、ぜひ、見にきてください」との返事。巨人の若手選手にオリックスの西も加わった彼らの練習をフェンスの向こうからのぞいて、当たり前だが、自分の現役時代とは隔世の感を覚えた。
私のオフの自主トレといえば、地元名古屋のゴルフ場をひとりで黙々と走るだけだった。開業前の早朝に好意で入れてもらい、アップダウンのあるコースを駆ける。週に4日は9ホール、残りの3日は18ホールと自らにノルマを課した。ボールは握らない。1年目に69試合、429イニング超を投げたということもあったが、春のキャンプまでは肩は休めるものと考えられていたのだ。
今の選手は、投手だったら、かなり強度の強いキャッチボールや遠投をやる。シーズンで150キロを投げる菅野も、1月の時点ですでに120キロ程度の球をキャッチボールで投げていた。
昨年は3月にWBCがあった。代表に選ばれた選手は、例年より調整ペースを上げる必要があったとはいえ、今は完全に肩を休めてしまう選手はほとんどいない。理にかなっている。シーズンで酷使した商売道具をいたわりながらも、肩は動かし続けた方がいい。止まった機械がさびつくように、関節の動きも悪くなる。当時はそう教えてくれる人がいなかった。