スケート勢は300日合宿 マラソン界に足りない覚悟と本気
折しも、20日配信の神戸新聞NEXTには、昨年12月に陸連強化委員長を辞任した伊東浩司氏に関する記事があり、当時、伊東委員長の方針に対し、「学連(学生陸上競技連盟)や実業団からいろんな声が上がってくる。相当反発を食らっていた」との本人のコメントがあった。陸連が国内の陸上界を主導できる立場にないことがよくわかる。
■目標は「メダル」より「代表」
さらに、実業団の陸上を統括している日本実業団陸上競技連合(実業団連合)には、こんな矛盾もある。実業団連合はマラソンで日本記録を更新すれば1億円の報奨金を出す制度がある。選手のモチベーションを上げて、東京五輪のマラソンで日の丸を掲げるのが目的だ。選手の前に「ニンジン」をブラ下げる一方で、東京五輪が2年半後に迫った今年も、マラソンの邪魔になっている正月の実業団駅伝が行われたのは解せない。
ある実業団OBが言う。
「有森、高橋、野口らが全盛の頃は、彼女たちに勝たないと代表になれなかったので、指導者も故障を恐れず練習させた。だから代表になれば、誰でもメダルが取れるレベルにあった。今は五輪でメダルが取れると思っている指導者は皆無。教え子から東京五輪の代表を出すことが最大の目標になっている。瀬古(利彦)さんがリーダーのマラソン強化戦略プロジェクトも実際の指導を所属先に任せている以上、スピードスケートのような成果は期待できない。海外の有能な指導者を常設のNTのトップに据えて、所属先の反発は陸連が抑える形でないと代表候補のレベルは上がりませんよ」
さて、陸連にスケート連盟の覚悟があるか。