計算しっかり 対戦相手揺さぶるMLB指揮官“あの手この手”
2015年8月、タイガースのオースマス監督(当時)は7月末のトレードで、ライバルのロイヤルズが大物投手ジョニー・クエトを獲得したことに危機感を募らせた。そして、ロイヤルズ戦でクエトと対戦した際に、球審に「クエトの変則的な投球スタイルは2段モーションであり、違反投法だ」とクレームをつけ、短気なクエトを逆上させた。これが功を奏したのか、クエトはロイヤルズ在籍中は集中力を欠き、期待外れの働きしかできなかった。
■バットにイチャモン
日本人選手では、デビルレイズ(現レイズ)入団1年目の岩村明憲が、ヤンキースのトーリ監督(当時)から心理戦を仕掛けられた。07年のヤンキース対デビルレイズ戦で、トーリは1番打者として活躍していた岩村の集中力をそぐ目的で、球審に「イワムラのバットは、ヘッドがのこぎりで切ったように真っ平らだ。これは違反バットだ。調べてほしい」と要求。その結果、岩村はバットを押収され、屈辱的な思いをする羽目になった。
これを知ったタイガースの古狸リーランド監督(当時)はデトロイトでのデビルレイズ戦で岩村が打席に立った際、今度はバットの色をヤリ玉に挙げ、球審に「イワムラのバットは禁止されているカラーではないか」とクレームをつけ、さらなる屈辱を与えた。
どちらも魂胆が見え見えのクレームだったが、岩村はこれをやられると打撃に集中できなくなるため、翌年、無難な形状の青バットに替えている。
名将の誉れ高い監督でも、裏に回れば平気であくどいことをするのがメジャーリーグなのだ。