日大アメフト騒動の一因 スポーツ界にはびこる“軍隊の掟”
■「ヤツのタマとってこいや!」
乱闘劇が珍しくなかった昭和のプロ野球も、監督やコーチから危険なプレーを命じられた時代があった。自軍の4番や好調な打者がチャンスで死球を受けると、報復として敵の4番にぶつけることはよくあった。
気性の激しいことで知られる監督などは「ヤツのタマとってこいや!」と自軍の投手に頭部死球を命じたこともあったという。「頭部を狙って150キロの速球を投げることは、まさに殺人行為だが、監督の命令に背けば出場機会を失うから、目をつむって打者の背中に当てた」というOBもいる。
一方で、こんなスポーツ界で育った学生が企業から歓迎されている事実もある。前出の松野氏が言う。
「スポーツの強い大学の体育会に所属している学生は就職先がすぐ決まる。運動部でしっかり教育されているので、上司の言うことには反論せず、会社としては使いやすいからでしょう。日大のアメフト選手の事件にしても、試合に出たい、監督に使ってもらいたいという気持ちは理解できるものの、仮に監督の指示でも、危険なタックルをすれば相手は大ケガするかも知れないということは容易に想像できる。その思考をやめてしまうのが、スポーツにおける絶対服従の関係なのです」
スポーツ庁の鈴木大地長官は、「危険なプレーを容認するわけにいかない」と言ったが、このような事件が起こる土壌があることを認識し、スポーツ界に対し、しっかりと対策を取るべきだ。