著者のコラム一覧
元川悦子サッカージャーナリスト

1967年7月14日生まれ。長野県松本市出身。業界紙、夕刊紙を経て94年にフリーランス。著作に「U―22」「黄金世代―99年ワールドユース準優勝と日本サッカーの10年 (SJ sports)」「「いじらない」育て方~親とコーチが語る遠藤保仁」「僕らがサッカーボーイズだった頃2 プロサッカー選手のジュニア時代」など。

ベシクタシュ香川真司は推進力と決定力に磨きをかけている

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 それと同時にトップ下のポジション争いにも勝たなければいけない。今季ベシクタシュではセルビア人MFリャイッチがその位置を務め、香川加入後も序列は変わらなかった。指揮官は「2人とも才能、技術ともに素晴らしい選手。2人を一緒にプレーさせることは可能だ」とも話し、3月の日本代表2連戦直前の16日のギョズテペ戦で香川をトップ下に、リャイッチを左MFに配するトライに打って出たが、相手の組織的守備の網にかかり、迫力ある攻めができずに苦しんだ。試合は1―0で勝ったが、「2人の併用はあまり効果的ではなかった」とギュネシ監督は発言。今後は不透明と言わざるを得ない。

「自分に求められているのは得点やアシスト。それはもちろん必要だけど、それ以上にゴールへの過程が大事。今季終盤2カ月間でそこにこだわれば自然と結果はついてくる」と香川は自信を見せたが、思惑通りにいかなければ森保ジャパン定着も、今夏のスペイン行きも暗雲が立ち込めかねない。本当に厳しい立場にいるのは確かだろう。

 ただ、3月10日のコンヤスポル戦のロスタイム決勝弾に象徴される通り、ドリブルで仕掛けてゴールまで持っていくようなプレーもできるのが香川だ。「結局は個の打開力が全て」とロシアW杯で8強の壁を破れなかった時にしみじみ話したように、彼は今、強引に前に出ていく推進力と決定力に磨きをかけている。

 そのトライが結実して今季残り8試合でゴールを量産できれば、明るい未来は開けてくるはず。

 すべては<自分自身のパフォーマンス次第>と30歳のアタッカーはよく分かっているだろう。

 (つづく)

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