錦織圭に必要なのは「また次があるさ」の楽な気持ち
全仏オープンがジワジワと迫っているのに、日本勢はパッとしない。錦織圭はクレーシーズンに入ってからバルセロナのベスト4だけで、モンテカルロ、マドリードとも早々に姿を消した。大坂なおみも線香花火で、いいショットをチラつかせながら集中力がポトッと切れてしまう――どうも覇気が感じられない。
テニスにはマラソンのような難しさがある。春からのハイシーズン、まずは2カ月間、足元が滑りイレギュラーの多いクレーコートでの長いラリー戦が続く。慣れた頃に今度は一転して、球足が速く弾道の低い芝の速攻勝負に移る。細かな不規則バウンドのイライラを乗り越えた先に、アメリカの夏の炎天下……転々とする環境で体力と精神力を競り合い、冬にはインドアでしっかり技術を試されるのだ。
こうした、山あり谷ありのシーズンを乗り切るカギはリラックス、すなわち、気持ちの切り替えであり前向きの精神構造だ。選手たちがよく口にする「楽しむ」心持ちがなければ、とてもやっていられない世界である。
「人間何が嫌かって、煩わしいのが一番ですよ」