落ちた奪三振率 阪神メッセンジャーに忍び寄る37歳の衰え
昭和中期の阪急などで活躍した通算350勝の大投手・米田哲也は、ガソリンタンクと呼ばれた驚異的なタフネスで名を轟かせたという。確かに年間300投球回以上や20完投以上を何度もクリアしているのだから、すさまじいスタミナの持ち主だったのだろう。
現代プロ野球は投手の起用法が大きく変質したため、このガソリンタンクのような投手はいなくなったわけだが、それでも一番近い存在を挙げるとしたら、阪神のランディ・メッセンジャーではないか。私は阪神ファンだから親しみを込めてメッセと書くが、メッセは2010年に阪神に入団し翌年に先発ローテに定着して以来、毎年フル回転。時には中4日の先発を直訴するタフネスぶりでリーグ最多投球回を3度、最多完投を2度記録しているが、それより特筆すべきは長期に及ぶローテ離脱がほとんどない点だろう。10年から昨年までの通算投球回数1527回3分の1は同期間では12球団最多。平成終盤に日本球界で最もマウンドに立った投手だ。
■配置転換で別の花を咲かせるか
ところが、そんなメッセが今季はおかしい。5年連続6度目の開幕投手を務めて以降、ローテに関してはしっかり守っているのだが、ここまで8試合に先発して2勝5敗、防御率4.71。5月4日のDeNA戦では1失点完投勝利を挙げたものの、他の試合では打ち込まれる場面がやけに目立つ。中でも気になるのは奪三振率の5・98。メッセといえば、過去9年間で奪三振率9点台を3度記録し、奪三振王のタイトルも2度獲得した剛腕だが、そんな彼の生命線であるパワフルなストレートで、今季は三振を奪えなくなっている。もっと詳しくは、昨年の後半あたりから奪三振率があきらかに落ちている。