サニブラウン100m9秒台連発で 五輪リレー走者選考は大混戦
「国内で練習を積み重ねてきたチームの中にサニブラウンが入ることは、人間関係の上では複雑な面もある」という陸上関係者もいる。
問題はそれだけではない。
リレーはスムーズなバトンパスが勝敗の鍵を握る。個々の力量で劣る日本は、渡す際にミスが少なく、受ける側もスムーズな加速が可能なアンダーハンドパスで、五輪はアテネ大会からリオまで、4位、2位、4位、2位と世界と渡り合ってきた。
バトンワークのレベルを上げるには練習の積み重ねが必要だ。日本陸連では今後、リレー候補メンバーを7月のダイヤモンドリーグ・ロンドン大会に派遣。代表合宿を張って世界屈指とされるバトンワークに磨きをかける方針だが……。
■苦手なバトンワーク、限定走順
「今や世界各国からトップスプリンターが集う米国大学陸上界でトップに上り詰めたサニブラウンですが、リレーの実力は未知数。経験が浅いため、バトンパスが不得意だからです。バトンパスに不安があるサニブラウンを代表で起用するには、バトンを渡すだけの第1走者か、受けるだけのアンカーと選択肢が限られる。そうなると第1走者からアンカーまでの構成が限られる。サニブラウン優先の走順は他の選手の能力を最大限に引き出せなくなるリスクがあるし、メンバー内にしこりが残ることも考えられる。ならサニブラウンを帰国させ、国内でのバトンワークの練習量を増やせばいいのですが、それがなかなか難しいのです」(前出の関係者)