球界のトップにもラグビー森重隆会長のような人材が欲しい
■WBC投手コーチ就任秘話
そういえば、私が2017年WBCの日本代表投手コーチを打診されたその日も、彼と一緒だった。小久保ジャパン初の国際大会となった15年11月のプレミア12で、日本代表は惜しくも3位に終わった。失意の小久保監督を労おうと福岡に行った私は、そこへ地元の重隆も呼んだ。彼は学生時代の恩師、明大ラグビー部の北島忠治監督や、ライバルの早大を率いた大西鐵之祐監督の言葉やエピソードを交えながら、「試合で最高のプレーをしようと思うのは間違いです。練習で最高のプレーをしないと試合ではできませんよ」と熱っぽく語ってくれた。
その夜のことだ。重隆と別れ、小久保監督と2人で行ったラーメン屋で「きょうはありがとうございました。権藤さん、投手コーチとしてWBCを一緒に戦っていただけませんか」と打診されたのだ。そういう意味でも思い出深い。
新日鉄釜石を退社後は故郷の福岡に戻って、家業の「株式会社 森硝子店」の社長になった。その傍ら、県内有数の進学校である母校の福岡高校でラグビー部監督を務めたうえ、同校を花園出場(全国大会)に導いている。名選手にして名指導者でもあり、経営者としてビジネスにも通じている。
15年からは協会の副会長、九州ラグビー協会会長として実務経験も積んだ。なにより圧倒的な人望がある。
球界のトップにもこういう人材が出てこないものだろうか。