時代の流れに逆行…花形種目のマラソンが五輪から消える日
■50キロ競歩は除外に
日本にとって痛いのは、9月の世界陸上で鈴木雄介が金メダルを獲得した男子50キロ競歩だ。今年3月に除外が決定し、この種目がオリンピックで見られるのは東京が最後。4時間を超える競技時間と若者に人気がないことが除外の理由だとみられている。
5日の陸連会見で瀬古利彦マラソン強化戦略プロジェクトリーダーは「(IOCに対し)もし東京でやらなきゃ困ります、ということを押し通したら『五輪でマラソンはやらなくていいと言われるのではないか』という思いがあった」と胸の内を明かした。専門家も「五輪マラソン」に危機感を抱いているのだ。
スポーツライターの工藤健策氏が言う。
「IOCは時短とテレビ視聴率を意識して東京五輪から、サーフィン、スポーツクライミング、スケートボードなどが採用される。若者を取り込むことに躍起になっている。マラソンはその流れに逆行しているという声は確かにある。今後もマラソンを続けるというなら今の形では難しいと思う。42・195キロのワンウエーでは、サポートするスタッフやボランティアは500人以上も必要で、警備員もかなりの数が必要です。競技時間が長いだけでなく準備や警備に多くの時間と経費を要する。フルマラソンにこだわらず、ハーフや30キロで行うのも一つの手です」