先代貴乃花の巡業でクラブのママ「一晩お付き合いしたい」
あまりの唐突な申し出に経営者は返事に窮した。逆のケースならともかく、いくらと言われても見当もつかない。頭を抱えたが、ママとは知らない仲ではない。日頃、店を使ってくれる大事なお客でもある。さんざん考えた挙句、経営者はママに聞いた。
「いくらくらいなら出せるの?」
「30万円なら」
当時の30万円は今なら100万円。いや、もっと多いか。
経営者は翌日、花籠部屋の宿泊先に貴乃花を訪ねた。どう話を切り出したのか、2人は会ったのか。後日、経営者に聞いたが、花籠部屋は間もなく次の巡業先に移動。結果は聞けず仕舞いに終わったとそうだ。
巡業中止に力士の落胆は大きい。
▽富岡二郎(スポーツジャーナリスト)1949年生まれ。東京都出身。雑誌記者を経て新聞社でスポーツ、特にプロ野球を担当。